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まぼろしたちをかかせてほしい

むすばれる幻たち

「みずから投稿しているのだから」このようなこえがふたたび手から離させる小説。一文字も読めない苦しさ。まったく読めない。いえ、読むよりも伝えさせて。いましか伝えられない感情をいま伝えることをのぞませて。「戸籍ではなくて国籍という言葉にするとよかった」このような反省するひとの文章を購入することの価値はあるかしら。こたえてほしい。衝動を。どうしても伝えずにいられない衝動を。そのようなものをのぞませてほしい。いえ。一文字も読めない苦しさ。この苦しさをのこさせて。まったく小説をよめない苦しさ。二年も同じ小説をもちあるく苦しさ。二ページから先にすすめない苦しさ。「テレーズはどこから来たかしら。裁判所かしら拘置所かしら。デュロースはだれかしら」二年間も読むことをこころみながら、あたまに何も入ってこない苦しさを、この苦しさを伝えることのぞませて。何も眼に入ってこない苦しさを。何も頭に入ってこない苦しさを。