aisiterujsan’s website

まぼろしたちをかかせてほしい

幻たちをかかせて

アルジュルーズは地のはて。地のはて。教会も役場も墓地もない土地。湿地と沼だけのひろがる土地。梢の揺れる音のほか何もきこえない土地。きかせておしえて、小説のよみかたを。まつむらきようこの淫らな姿の光景が、アルジュルーズの土地を想像させない。そのため小説をよめないの。はなしを追っていけないの。アルジュルーズに住むのは、住むのはだれだったかしら。まつむらきようこの淫らなまぼろしが小説をよませないまったく読ませない。この絶望をかたらなければいけない。アルジュルーズの土地を想像するよりも、まつむらきようこのまぼろしとの格闘を、格闘をかたらなければいけないそのはず。何を恐れるの何かしら。何も恐れない恐れない。こえがふるえるのなら、ふるえるのといわせて。ふるえてないかしら。それとも幻聴かしら。怖くないと言えない。怖いのなら、怖いと言う。眼から消えないのなら、消えないと言う言うの。言わせて言う私は言うの。