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まぼろしたちをかかせてほしい

幻たちをかかせて

杏子をよませて。だから、幻たちを消させて。読むまえに幻たちを消さなければ、杏子の生活に入っていけないの。そうでしょう。ふたつの意識を私は生きられないの。だから、幻たちを消させて。幻たち消すの。そして、杏子をよむの。つかのま心をなかむらさんから離させて離させて離させて離す。離す。離すの。離させて離させて。離す。杏子をよむの。だから、離すの。離す、離す。大学生のお兄さんと。こどもの進路に過剰にくちをだすお母さんと。お父さんはいない。このような家族の構成だったはず。だったはず。だったはず。だったはずなの。心がもっと自由だったのなら、小説に入っていけたはずなの。いまは入っていけない。このように自覚させて。小説をひらけないの。はなしを追っていけない。いまは追っていけないの。このように自由のない心を杏子の小説が気づかせるの。わたしに自由はないの。幻たちしか見えないの。この心の苦しさをのこさせてほしい。